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2017-07

回帰 警視庁強行犯係・樋口顕/今野敏 - 2017.07.22 Sat

変換 ~ 102

樋口シリーズ最新作は、国際テロ組織との戦いと言う、これまでで1番スケールが大きくなっている。
にも関わらず、と言うかだからこそと言うか、シリーズ作品としてはイマイチ。

評価されれば嬉しいけど評価されすぎると重荷に感じ、
また評価されなきゃされないで落ち込む、でもいずれの時も感情を表に出さないことで、
冷静沈着と思われてうろたえる、面倒な男・樋口顕

その樋口の、いつもの必要以上に小市民的な内面描写が今回はやや薄く感じられて、
そこがこのシリーズの好きなところなだけに、そこがまずマイナス。

それから、家族の問題もこのシリーズの魅力のひとつであるにも関わらず、
今回はほとんどおまけ状態
娘の照美がバックパックで海外旅行を言い出す→氏家に相談→樋口が照美と話す→終わり。
ホントに会話がちょこっとだけで、氏家もいつも以上に出番が少ないし、この辺もだいぶマイナス。

が、警察小説としてはつまらなくはないから評価に困る
刑事にとっては「敵」に等しく、大抵の作品では刑事と対立する公安が、
本作では珍しく「刑事に協力的な公安」が登場する所が面白い。
テロリストを特定するための捜査やテロリストとの駆け引き、
そこに元刑事でテロ組織に入ったと噂される男・因幡が絡み、
状況の変化によって登場人物たちの立ち位置が変わっていく様も読み応え充分。

そんなわけで、樋口シリーズとしてはやや残念、警察小説としては面白い。
なんと言うか、風俗行って指名したら写真とは別物が出てきたけどサービスめっちゃ良かった的な感じと言うか、
ヴァンダレイ・シウバを期待してたら石井慧が出てきてでも意外と好勝負だったとかそんな感じ


うん、違うな
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因業探偵 新藤礼都の事件簿/小林泰三全体的に - 2017.06.24 Sat

変換 ~ 098

自分の探偵としての天才的才能に気づいた、「世の中自分以外は間抜けばかり」な
天上天下唯我独尊女・新藤礼都(れつ)が、探偵事務所を開設するための元手を得るべく、
多種多様なアルバイトを始め、そのバイト先で起こった事件を描く推理短編集。

性格の悪い礼都と各話の登場人物たちのねじ曲がった性根とブラックでシニカルな内容に、
心温まること間違いなし

小林泰三の作品はそんなに読んではいないけど、
短編集に関して言えば間違いなく過去作の方が出来がいいと思わせる本作
仕事に対してはやる気はないけど犯人への嫌がらせはやる気のある礼都のキャラクターのおかげで
そこそこ読めはしたけど、全体的にあっさり感は否めない。

その中で面白かったのは、「保育補助」と「剪定」。
「保育補助」は、怪しげな24時間営業の保育施設で働く園長の独りよがりなゲスな真相と、
礼都の暴き方が良かった。
「剪定」も、犯人の冥く歪んだ嗜好が面白かった。
この人の書く堂々巡りの会話結構好き
「散歩代行」は仕掛けがあざとすぎで、その仕掛けを除けば話もたいしたことなかった。
「家庭教師」は子供を誘拐された当事者以外の反応はちょっと笑えたけど、これも話自体はあんまり。
「パチプロ」と「後妻」はつまんなかった。

そんなわけで、ミステリーとしてはイマイチ、ブラックジョークとしてはまあまあ。
買うほどかと言われればやめとけ
そんな感じの短編集。

ぐいぐいジョーはもういない/樺薫 - 2017.05.18 Thu

変換 ~ 090

人生に中で、女の子が高速スライダーをおもいっきり投げなくちゃならない日は、限られている。

最初と最後にあるこの一文、すごく好き。
似たような言い回しはなんとなく聞いたことあるけど、
そこに「高速スライダー」を入れるセンスはお見事

この作品は、奥付見ると2010年に刊行されたようですが、
これまで積んであったわけではなく2日前に購入。
それがなぜかというと、数日前に唐突に、10年以上前に購入した女子野球を題材とした、
同人エロゲの「花咲くオトメのための嬉遊曲」を思い出し、そこから色々辿った末、
当ゲームのライターだった夏葉薫氏が「樺薫」のPNで
なんと女子野球を題材にしたこの小説を上梓していたことを知って、購入に至ったわけ
でして。
花咲く~は、文章にややクセがあったものの、キャラはよく立ってるし野球の知識やプレー描写が巧みで、
実に野球ファンには面白い作品でしたねえ。
そんな氏による同じ女子野球作品となれば、買わないでいられるだろうか?いやない(反語)

本作は、女子高校野球の名門・ダスティン女学院のスーパーエース、
高速スライダーの使い手“ぐいぐいジョー”こと城生羽紅衣(じょう・うぐい)と、
その女房役である小駒鶫子(こま・つぐみこ)の2人が主役の女子野球小説

高校最後の夏の全国大会決勝戦で、完全試合目前のプロローグから始まり、
1・3・5・7・9の奇数章がその決勝戦、
2・4・6・8の偶数章が1年時の2人が出会う春から冬にかけての出来事を描く構成で、
章ごとに三人称と一人称が入り混じる。

決勝戦の描写は、1球1球の描写がとにかく細かい
セリフが少ない事もあって野球に興味がないと確実につまらないとさえ言えるくらいに、
緻密な駆け引きが実に面白い。
各打者への配球パターン、あるいは相手投手への対応と、
様々な攻め方がとても興味深く読める
のですよ。
さらっと所々で言及されるウンチクなんかも、感心させられますねえ。
羽紅衣が持ち球に選んだ球種の理由とか、なるほどと思った

1年時のストーリーは、もうキャッチャーはゴメンだとサードに転向して鶫子は入部しながらも、
羽紅衣が鶫子を求め、鶫子がそれに応えバッテリーを組み、
試合と日常を通じて2人の距離が縮んでいくシリアスとコメディと百合要素がないまぜになった展開で、
こちらはバレンタインのエピソードが最高に笑えた
わがままで理不尽な羽紅衣の、エキセントリックな行動は面白すぎる。
出番が少ないながらも、3年のマー先輩と2年の郷先輩のやり取りも楽しい。
真面目なエピソードでは、同級生の巴せりの打撃改造見守る鶫子と、前司先輩の会話が良かったな。

キャラクターは、羽紅衣と鶫子の2人以外はホントに出番が少ないので、
必然的にこの2人が濃く描かれているけど、
チームメイトも決勝の相手である追田高校の選手もプレースタイルでキャラを立たせているので、
どのキャラもなかなか魅力的に見えてしまう
という上手さ。
そしてだからこそ、もっと色んなキャラが会話してるシーンが欲しかった。
ま、そうは言ってもやはり格別魅力的なのは、エースらしい天上天下唯我独尊な羽紅衣ですわね。
もっとも、鶫子あってのワガママぶりなので、2人揃っての評価と言えるけど。

そんなわけで、多少の不満はあれど、ほぼ徹頭徹尾満足、
樺薫氏の文章が好きなんだな~と改めて思った1冊でございました。

「かもな。なら、逆に聞こう。
高校三年間、部活動。プロの門戸もあるにはあるが広くはない、
そんな競技をやって、何が無駄じゃない?
全て無駄か、でなきゃ、全ていい経験か、だ。
今年の夏で私の高校野球はおしまいだ。
だからって主将なのに後輩にアドバイスの一つもしないでは、な。
すっきり生きていけない」
「……そう、ですね」
「お前も、後輩にはよくしてやれよ。それが主将のお仕事だ」
「……はい」


RE;SET>学園シミュレーション 1万4327度目のボクは、1度目のキミに恋をする。/土橋真二郎 - 2017.03.27 Mon

変換 ~ 039

学校のデータを管理するシステムを偶然見つけ、それを利用して“ジャック”として「正義」を行い不正を正し、
悪を追放し、学園中から称賛を浴びた今野遼太郎

が、その正体が暴かれると今野に情報を与えまいと逆に警戒され、周囲から孤立してしまう。
自分の正体を暴いたのが、部員わずか2名の瀕死の科学情報同好会と目星を付け訪れてみると、
そこには2人の変人がいた。
黙っていれば問答無用の美少女、その実態は科学情報同好会の部長のくせにオカルトマニアの西奈未来と、
エロゲーオタクの日向拓真。
科学情報部の初代部長が作った統合システムを利用し構築された仮想空間へログインできるカプセルへ入ると、
今野は学園内で起こる未来を体験
する。
そこで、一学期の最終日に女子に刺される未来を体感してしまった今野は、
それを避けるべく、容疑者である幼馴染、転校生のギャル系女子、後輩のスポーツ少女、
副担任の女教師の好感度を上げるため、シミュレーターで何度もセカンドワールドへダイブし、
同じ日を繰り返す。

常に攻撃的な思考でアグレッシブな行動し、
いつもの土橋主人公の如くセクハラな言動で楽しませてくれる今野は、
中々の優良主人公

未来予知に頼ったりロジックで解決しようとしても、
最終的には情や思いやり、話し合うことで分かり合おうとするところが好感持てる。
西奈のパンツの柄にこだわったり、一緒にシュミレーターに入った西奈に嫌がらせのように抱きしめたりと、
まあ実にいいセクハラぶり。
そして安定の缶コーヒーとブロッククッキー

西奈は変人だけど、感情的になりがちな今野に対し、冷静に理詰めに今野をサポートする。
ツッコミ役だけどつい今野のセクハラに動揺させられる所が可愛い。
メインヒロインってことでいいのかな?
日向は、なんでもエロゲー基準で考えるのが笑える。
でも、三枚目のダメ友人という訳ではなく、意外と役立ったりするし、
今野と一緒にパンチラスポットを楽しんだりするいいキャラ

幼馴染の香子ことカコは、今野になつく子犬系ヒロイン。
どんな状況でも今野を信じる純真さが可愛い。
でも、1番の好みはギャル系のレイナ。
派手な外見とは裏腹に、1度打ち解けると明るく快活でズルが嫌いな女の子。パンツは白。
ジャックに救われた恩義から体育祭実行委員に立候補したシーン好き
未唯は出番が少なかったので、さして印象ない。
お姫様抱っこは「殺戮ゲームの館」の使い回しだな。
アレ好きだからいいけど。

タイムリープものような緻密な伏線という程のものはないものの、
それでもプロットはしっかりとしていてストーリーの流れや
「こう来たらこうする」的なキャラの動きは上手い。
キャラも魅力的で、最近の土橋作品の中でも、上位に入る面白さ

サブタイトルの意味がよくわからないのと、
ラストの展開から続きを期待していいのかねえ。

「未唯を抱っこしたのを見て嫌な気分になったんじゃないのか・」
「ちょっと嫌だったけど、かっこいいと思ったよ」
「レイナの胸を見てへらへらしてたのは?」
「それはちょっと気持ち悪かった」
「秋宮先生と俺は両想いなことに嫉妬した?」
「いや、そんな事実はないと思うよ」
「俺はただ、カコの中に歪な情報が生まれたのなら浄化してやりたい」
「じゃあ…許してあげる」


悪魔を憐れむ/西澤保彦 - 2017.02.21 Tue

変換 ~ 014

タックシリーズの新作は、ウサコと平塚刑事の馴れ初めが描かれ、
平塚刑事の実家で起こるポルターガイスト現象の謎を解き明かす「無間呪縛」、
大学OBからある老教師の飛び降り自殺をしないよう見張りを依頼されながら、
死なせてしまったタックが事の真相追う表題作「悪魔を憐れむ」、
男女3人が殺害され、その内2人の首と手首を別の場所に放置した犯人の動機を、
タック・タカチ・佐伯刑事が飲みながら推理する「意匠の切断」、
居酒屋である男の電話での会話を聞いたタックは、
先日のホテルでの出来事出来事を思い出し、
そこから男のアリバイ工作をボアン先輩と推理する「死は天秤にかけられて」の
四編収録の短編集。
あとがきでシリーズが時系列順に整理されてるのがありがたい

久々のシリーズ新作で、4人はようやく大学卒業
タカチは東京へ行きウサコは結婚、ボアン先輩は就活、そしてタックはフリーターと、
全員の居場所や行動がバラバラなため、今作は全員勢ぞろいの話はなし
「無間呪縛」がタック&ウサコ、「悪魔を憐れむ」がタック、
「意匠の切断」がタック&タカチ、「死は天秤にかけられて」がタック&ボアン先輩と言う組み合わせで、
すべてタックの一人称で進められる。
このシリーズらしい、推論をこねくり回すのが「意匠の切断」と「死は天秤にかけられて」。
前者は本筋と全然関係ないタカチの「千暁さん」呼びが好き。と言うかタカチ好き
後者は、男同士の馬鹿げた感じのディスカッションが面白い。
やはり、ボアン先輩は潤滑油として必要不可欠だなー。
話として1番面白かったのは「悪魔を憐れむ」ですな。
「言葉や暗示で死へ誘導する」と言うのはさして珍しいわけじゃないけど、
転落死の真相を真犯人とも言うべき人物が明らかにし、
更に「真犯人」の動機、そして巡り巡っての皮肉なオチと、お見事な出来。

「無間呪縛」でウサコがスゲー肉食系という事が判明。…恐ろしい子!

「しかし、そんなこと、あるのかなあ。
ひと晩に四人というのは、いくらなんでも」
「タックよ、なんでもかんでも自分を基準に考えちゃいかんぞ。
世なかには、そういう精力絶倫の男だっているんだ」
「かもしれないけど、ひと晩で四人って、腎虚で死にそうな気が」

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